Trans Princess東横線衝突事故に見る、ハイテク&コストカットの落とし穴 その2☆

東横線衝突事故に見る、ハイテク&コストカットの落とし穴 その2☆

2014–02–28 (Fri) 20:41
2月25日の「消えた記事」、復活です☆

…あんまり皆さまの興味をそそるような記事ではないかも知れませんが☆
この事故以外のエピソードなども載せていますので、ご一読くださいませ。

----------------------------------------------------------

さて、今回の事故が起きたのは深夜、事故を起こしたのは比較的新しい車両です。
純電気ブレーキを搭載し、かなり低速、時速1キロ以下まで回生ブレーキ(車に例えればエンジンブレーキ)が効くはずなのですが…。

実はこの回生ブレーキは、架線の電圧が自車の電圧より低いときに発電機として働き、その電気を架線に戻しながらブレーキを効かせてスピードを落とすのですが、その必要がない(つまり架線の電圧が十分に高い)時は、回生ブレーキは停止してしまいます。
これを「回生失効」と言います。文字通り「回生ブレーキ」が「失効する」と言う事で、要するにブレーキが切れてしまうのです☆

「えー、それは困ります☆ そんな所でブレーキが切れちゃったら、危ないじゃないですかぁ☆」

はい。そんな時には、自車に搭載された抵抗器に発電した電気を流して、熱に変えながら電気ブレーキ(以後、「電制」)を起動させ続けるのですが…昨日の記事でもちらりと触れましたが、最近の車両はこの重い抵抗器の搭載を(重量軽減の意味で)省略しているのです。

この車両もそういうタイプで、この場合には回生失効した後、空気ブレーキ(以後「空制」)、つまりエアの圧力でブレーキシューを車輪に押し付けて、その摩擦抵抗で停止することになりますが、普通は停止直前まで回生ブレーキが効きますので問題ありません…純電気と言っても、最後は空制で止まるのです。そうしないと、電車がまた動きだしちゃいますから(これを「転動」といいます)。

この車両は「純電気ブレーキ」ですから、ここまでの走行中、殆ど「電気ブレーキ」ばかりを使ってきたのです。その間、使用していない空気ブレーキは冷え切ってしまい、着雪し、その雪が低温の中で凍り付いてしまっていたと考えられます。空気ブレーキの性能は、この時点で著しく低下していたと考えられます。

そこへ、車両が滑走している為に非常ブレーキをかけるとどうなるでしょう。
非常ブレーキの時は、純電気でも電制ではなく空制を作動させます。通常、車両形式を問わず確実に、短い距離で車両を停止させるなら空制が一番と考えられています。
理由は裏切らないからです。電制ではオーバーロードなどで、急に切れてしまうこともありますからね☆

しかしその頼りにしている空制が凍り付いて役に立たない状況だったとしたら…。
これも分かりやすく車に例えれば、アイスバーンの走行中にギアをニュートラル(エンジンブレーキが効かない状態)に入れているようなものです。アイスバーンの走行経験がある方なら、それがいかに恐ろしく、危険な状態である事かおわかりになるでしょう。
そしてこうなればもう列車を止める手立てはなく、追突を避ける手段はありません。
直接原因は、非常制動をかけたため、性能が著しく低下した空制だけに頼ることになり、衝突してしまったという事のようです。


「うーん、それなら非常ブレーキを使わないで、普通のブレーキで止まれば事故は避けられたんじゃないですかあ?」

それがですねえ、どうもその普通のブレーキも、著しく性能が低下していたと思われる節があります。

事故当時、時間はもう深夜です。普段あれだけ頻繁に走っている東横線も、この頃には走行している電車も少なくなり、架線の電圧が高く、電力を回生する必要がなくなってきていたはずです。つまり、「回生失効」が早々と発生してしまったでしょう。
(こういうケースが多々発生する地方の線区を走行する車両には、回生失効後も電制が使える様、抵抗器を搭載しているものもあります)

そうなれば、80km/hの速度から「一段ATC」の指示に従って先行列車の600m手前で常用ブレーキをかけた時にすぐに回生失効して、抵抗器の付いていない車両は電制を遮断され、あとは空制に頼るしかありません。おそらくその時、加速中の電車が他にいなかったのでしょう。もし近くに加速中の電車があれば、当然架線の電圧も下がり、回生失効は起こらなかったでしょうが…。

こんなところに、ハイテクによる省エネとコストカットの落とし穴があったのですよ…☆



「うーん、パンタグラフを下ろして、電気を遮断してはどうでしょう☆」

この場合は、それは無意味です。回路異常等でモーターが暴走しているのならともかく、モーターへの電気を止めようが止めまいが、空気ブレーキが凍り付いて役に立たないのは変わりません☆

余談になりますが、抵抗器を搭載した車両であれば、パンタグラフを上げておけば回生失効後も電気ブレーキが働いて、速度を落とすことが出来ますし、回生ブレーキなどない旧型の車両も同様です。

例えば富士急行で1971年に死者17人を出した事故では、河口湖発大月行電車が踏切内に進入した小型トラックを巻き込んだ時に空気ブレーキを破損、全くブレーキが効かない状況になりました。
この時は暴走する車両を止めようとパンタグラフを下ろして電気を遮断しましたが・・・それにより電気ブレーキが一切効かない状況になりました。運悪く下り勾配が続く線区だったのが災いし、最後は脱線転覆後、沢に転落するという大事故となってしまいました。
その後の事故調査で、もしこの時パンタグラフを上げたまま、生き残っている電制だけで減速させていれば脱線・転覆は避けられていた事が分かっています。

更に歴史を遡ると、1948年、近鉄奈良線で発生した追突事故では、空気ブレーキが壊れた奈良発上本町行き急行電車が生駒駅発車後に下り勾配で暴走。猛スピードでカーブを通過した際にパンタグラフが架線から外れてしまいました。これでは上記の事故と同様に、電気ブレーキも使用不能…と言いたいのですが、この車両には実は「電気ブレーキ」は搭載されていません。

ただ、もう一つ「最後の手段」があって、マスコン(車で言えばアクセルとギアが一緒になったようなもの)の主回路を逆転させ(車で言えばギアをバックに入れてクラッチをつなぐ)、モーターの回転方向を逆転させて減速する方法があるのです。
これを「逆転制御」と言います。当然モーターは壊れ、発火する恐れもありますが、衝突するよりはまだマシです☆
しかし、パンタグラフが離線した事によって、それも出来なくなってしまいました。

停車するはずの石切駅を暴走列車が通過した為、駅員は次の瓢箪山駅へ急報。その瓢箪山駅には丁度本線側に先行列車が入線する所でしたが、後方から暴走してくる後続列車を見た駅員が咄嗟の判断でポイントを切り替え、先行列車を待避線に誘導。その最後尾が分岐部分を通過したと見るや瞬時にポイントを元に戻すと、今度は暴走中の後続列車が猛スピードで本線を通過…間一髪で追突を免れました。 まるで映画のワンシーンのようですね。

そこまではよかったのですが…瓢箪山の駅員は、更に次の河内花園駅(現在は東花園駅になりますが、当時はまだ開業していませんでした)に急報しようとした所、電話がなかなか通じず…(なにしろまだ戦後3年目です)、通じたときには、更に前を走っていた先行列車に、この駅で追突した後でした…。

それこそお話が「脱線」してしまいました…☆

それでは、この「省エネとコストカットの罠」に対処するには…?
それは次回の、「問題解決編」に譲るとしましょう☆


スポンサーサイト

« この三次元世界は時間に支配されている…だからこそ先へ進もう☆ | HOME |  台風の目の中は平和ですね…☆ »

コメント

コメントの投稿

 
管理者にだけ表示

トラックバック

トラックバックURL

http://transprincess.blog.fc2.com/tb.php/191-050e5199

⇒ この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)

 | HOME | 

プロフィール

Michiru

Author:Michiru
Be brave wearing gloves and boots!
清楚な女の子用のセーラー服を着て、それに手袋とブーツを合わせて男の子らしく、水兵さんっぽい、勇ましい感じにしてみました。男の子だから出来る可愛さを…。

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR