Trans PrincessA320を墜落させるのは、実は至難の業なのです…(その2)☆

A320を墜落させるのは、実は至難の業なのです…(その2)☆

2015–01–04 (Sun) 16:33
マレーシア航空370便・同社17便、及びインドネシア・エアアジア8501便に関する一連の記事は、「飛行機好きのMH-370事件考察」に収録しています。
こちらを利用すると、余計な記事はすっ飛ばして、お目当ての記事を見る事が出来ます。
画面左下部の「カテゴリ」から、「飛行機好きのMH-370事件考察」をお選び頂くか、
下のリンクからご覧下さい☆

飛行機好きのMH-370事件考察




さて、前回の記事の続きです☆

ジェット旅客機は、エンジンが止まったら真っ逆さまに墜落する…
そう思っていらっしゃる方も、少なくないようです。

先日東京で催された、とある懇親会に出席したのですが、
そこで「旅客機はエンジン止まったらストンだよ」
「せいぜい高さと同じ分の距離しか飛ばないぞ」(訳注=滑空比1:1です)
と、大きな声で喋る年配男性がいて、まわりの人も皆さん頷いていました。
典型的な「声が大きくて、強い者にこびへつらい、弱い者は虐める」感じのタイプでね…
周りの人間もそのような感じでしたから、何も言わずに会場を立ち去り、
そのまま東北新幹線に飛び乗って、仙台へ帰りました…☆
…おまえたちだけ、そういう飛行機に乗るといいです、わふー☆ (まあまあ…☆)



ジェット旅客機は、いったいどれ位の距離をグライダーの様に滑空できるのでしょう?
滑空できる高度と距離の比率を滑空比と言いますが、A320では1対17くらいになります。
例えば現在の高度が1000mなら、17km先まで滑空できる事になります。
10,000m(約32,800ft)なら、170km先まで、グライダーのように滑空します。

勿論、理論上のお話ですし、実際には搭乗人員や搭載燃料、貨物の重さで違ってきます。
実際に滑空できるのは、当然これよりは短いでしょうね。
ここで分かって頂きたいのは、飛行機は全メインエンジンが停止しても、それで終わりでない事と、
そのあと冷静に対処すれば、ちゃんと地上へ生還できる…と言う事です☆


さて、QZ8501便の場合はというと…
これが当時の、あくまで公式発表に基づいたQZ8501便の航跡です。

track QZ8501

これがまたわざわざやったかのように、ジャワ海の真ん中の上空で…☆
さて、この上空から一番近い空港を、航路図で探しましょう。

aeronautical chart around java sea 3


×印が、行方不明になった地点です。
うわあ、こうした緊急事態の受入態勢が整った大都市や大観光地の空港は、どこも遠いですね。
「わざとここでやったんじゃないか」と、勘繰りたくもなりますね…☆

当時の現地は悪天候ですし、あまり遠くへは行けないでしょうから、
一番近い空港はと、航路図を拡大していきます。

aeronautical chart around java sea 2

当該機はM635というデンパサールとシンガポールを結ぶ航路にほぼ沿って飛行し、
TAVIPというポイントのそばにいます。
近場に空港は二つありますね。

タンジュンパダン(Hanandjoeddin)空港 (IATA:TJQ ICAO:WIOD)

イスカンダール空港 (IATA:PKN ICAO:WAOI)

下の方は、不正選管ムサシ宇宙戦艦ヤマトとか、停まっていそうですね…(それは絶対に無い☆)


タンジュンパダン 滑走路長 1,849m
イスカンダール  滑走路長 2,120m

A320の着陸滑走距離は1,550m…通常ならば着陸可能です。


しかし、滑空着陸時にはどうなるのでしょう。
そこで、父の友人…某航空会社の方に、色々とお話を聞いてみました。
飛行時間1万時間を超える、ベテランの機長さんです。

「滑空時には、降下率は毎分2,000ftを超えています」
「それを着陸時には、毎分500ft位にまで降下率を減らさなくてはなりません」
「全停止しているメインエンジンのパワーが使えないとなると、この降下率の調整が難しい」
「そして、滑走路の上に機体を持ってくるのが、非常に難しいですね」
「しかも当時は荒天ですから、更に条件は厳しくなりますね」
「シアがひどくて危険を感じても、機関停止では着陸復行(一旦上昇して着陸をやり直す、いわゆる「ゴーアラウンド」の事)も出来ません。 『一発勝負』になります」
「ですから、もしテイルウィンド(背風=後ろから吹く風)やクロスウィンド(横風)に襲われた場合、最悪、横転・転覆してしまいます」

こうした条件から…
「どちらの空港も、当時の条件下で着陸するのは難しいと思いますよ」
「理想的な気象条件下で、例えば成田空港A滑走路の様な、理想的なランウェイでないと難しい」
との事でした…。

それではどうしたら良いのでしょう?
「海上、若しくは河川への不時着という手があります」
「海上も時化ているでしょうから危険はありますが、墜落するよりはいいでしょう」
「陸の近く、出来れば大きな港や、基地の近くに不時着出来るといいですね」
「軍艦や巡視艇のような船なら、荒天下でも比較的活動出来るでしょうからね」
「それに荒天下の救助活動は、普段から訓練されていると思いますのでね」
「不時着の衝撃でELTが発報します」



そして実際、空港ではなく、敢えて水上に不時着して全員無事救助された例として、
「USエアウェイズ1549便不時着水事故」を挙げて頂きました。
そう、同じA320が不時着水して、死者ゼロだった事がありました☆

USエアウェイズ1549便不時着水事故

USエアウェイズ1549便はラガーディア空港離陸直後、両エンジンの同時バードストライクというレアケースによって両エンジンがフレームアウト(停止)し、飛行高度の維持が出来なくなった。機長と相談の末、空港管制は、進行方向の延長上にあるテターボロ空港への着陸をアドバイスしたが、高度と速度が低すぎるため機長はキャンセルを伝え、ハドソン川緊急着水を宣言した。これにより低高度でレーダーから消失してしまうため、空港管制は周囲の航空機へ1549便の目視チェックを要請し、観光ヘリ2機がこれに応じた。

乗務員は、川へ着水させて市街地への墜落を防ぐ(その際に目視で船着き場がある場所を選んだ。真冬であり、救助が早急に行われることを期待してのことである。実際にすぐに周囲の通勤フェリーが次々に救助にやってきた。その際は子供と女性の救助が優先された。)、着水後まもなく浸水が始まっていた機体後方のドアを開けないなど、エンジン停止と不時着水という非常事態に冷静に対処した。機長とアテンダントらは決められた手順に沿い不時着水後の機体内を見回り、既に浸水が始まっていた機体後方まで機内に残っている乗客がいないか2度確認に向かっている。その後、乗員乗客全員が脱出したのを確認してから自身も脱出する、その際に機内の毛布や救命胴衣を回収しつつ客に配る等、手順通り冷静に事態の対処にあたった。




そうそう、「ハドソン川の奇跡」として有名ですね。

「それでも少しでも早くお客様を救助して頂けるよう、少しでも人目につく所、少しでも早く救援の方々が到着できるように、着水地点を見極めて機体を下すのです」
「A320をはじめ、今の旅客機はお客様の命を守れるよう、何重にも対策が施されているんですよ」
「そしてそれに対応できるよう、乗務員は常に厳しい訓練を受けているのです…」


うん、そうですね。
だからこうして、わたしたちは安心して飛行機に乗る事が出来るのです…

Mさん、色々と教えて頂き、ありがとうございました…☆




以下、(その3)へ続きます☆


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